タイヤの溝は残り何mmで交換? スリップサインとプラットフォームの見方
一般社団法人 日本総合検定資格センター
結論から書きます。乗用車では、残り溝1.6mmが道路運送車両の保安基準の定める使用限度です(高速道路を走行するトラック・バス用は3.2mm、小型トラック用は2.4mmというように、用途の区分によって基準は異なります)。この位置を教えてくれるのがスリップサインで、1か所でも現れたタイヤはその時点で交換が必要になります。そして1.6mmは「交換の目安」ではなく「限界」です。交換の準備は、限界のかなり手前から始めます。
スリップサインの探し方
タイヤの溝は飾りではなく、濡れた路面で接地面と路面の間の水を排除するための通り道です。浅くなると水を逃がしきれず、タイヤが水の膜に乗って操縦できなくなる状態(ハイドロプレーニング現象)が起きやすくなります。溝が減ることによる危険は、雨天時に特に顕著になります。晴れた日に不安を感じないまま、雨の日に急に現れるのが怖いところです。
溝の底には、ところどころ盛り上がった部分があります。摩耗が進むとこれが接地面と同じ高さになり、溝が途切れたように見えます。この状態が残り溝1.6mmです。位置は、タイヤの側面にある三角形(△)の印が示しています。側面の印をたどって接地面を見れば、確認すべき場所がすぐ分かります。
見るときは1か所で済ませないでください。タイヤの内側・中央・外側の3か所と、円周方向にも数か所を見ます。摩耗は均等に進むとは限らず、片側だけが減っていることがあるからです。
そして限界に達してから交換を考えると、手配している間も限界のタイヤで走ることになります。雨の日の排水性能は限界のかなり手前から落ち始めるため、一般には残り溝3mm前後で交換の準備を始めるとよいとされています。
冬用タイヤには、もう一つの目印がある
冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ)には、スリップサインより高い位置にプラットフォームと呼ばれる突起があります。
| 目印 | 現れた状態が意味すること |
|---|---|
| スリップサイン | 残り溝1.6mm。乗用車の保安基準上の使用限度 |
| プラットフォーム | 新品時の溝の深さの50%が摩耗した状態。冬用タイヤとしての性能の限界 |
プラットフォームが出た冬用タイヤは、溝が1.6mm以上あれば法令上ただちに使えなくなるわけではありませんが、雪道・氷上での使用はできません。雨天時の性能などから、タイヤメーカーは夏用タイヤへの交換を勧めています。
冬用タイヤは、溝だけで判断できない点にも注意が要ります。溝が残っていても年数が経つとゴムが硬くなり、氷に密着する性能が落ちます。使用したシーズン数だけで決めず、プラットフォームの露出、偏摩耗、ひび割れ、ゴムの硬さ、製造年をあわせて見てください。製造時期は側面の4桁の数字で分かり、前2桁が週、後2桁が年を表します(「3624」なら2024年の第36週です)。
なお、冬用タイヤを履いていても、凍結路面での制動距離は乾いた路面よりはるかに長くなります。装備は、速度を落とすことの代わりにはなりません。
減り方は、別の不具合を教えてくれる
タイヤの減り方が均等でないことを偏摩耗といいます。偏摩耗はタイヤの寿命を縮めるだけでなく、クルマの別の異常を知らせる手がかりでもあります。
| 減り方 | 見た目 | 主に考えられる原因 |
|---|---|---|
| 両肩減り | 接地面の両端だけが減る | 空気圧の不足 |
| センター減り | 接地面の中央だけが減る | 空気圧の過多 |
| 片減り | 内側または外側だけが減る | 車輪の取り付け角度のずれ、足まわり部品のへたり |
| 段減り | ブロックの前後で高さが変わる | ローテーション不足、空気圧不足、走り方の癖 |
このうち両肩減りとセンター減りは、空気圧を指定値に戻すことで進行を抑えられる場合があります。ただし、すでに減ってしまった部分が元に戻ることはありません。一方、片減りは自分では直せません。車輪の取り付け角度の調整が必要で、整備工場の作業です。原因を直さない限り、新しいタイヤに替えても同じように減ります。
溝を長持ちさせるのは、空気圧の管理
空気圧が不足するとタイヤはたわみ、両端で車重を支える形になって早く減ります。高すぎれば中央だけが強く当たります。高くても低くてもよいことはなく、指定された値に合わせるのが正解です。
指定空気圧は、運転席側のドア開口部、給油口のふたの裏、取扱説明書のいずれかに表示があります。タイヤの側面に最大空気圧として表示された値は、そのタイヤが耐えられる圧力の上限であって指定空気圧ではありません。側面には製造時期やサイズなど別の数字も並んでおり、すべてが空気圧を示すわけではない点にも注意してください。取り違えの多いところです。
測るのは走行前の冷えた状態が原則で、点検の頻度は月に一度程度が一般的な目安とされています。タイヤは異常がなくても、ゴムを通してわずかずつ空気が抜けていくためです。1本だけ明らかに低ければ、異物によるパンクやバルブの不良を疑ってください。
自動車士では、タイヤの4つの点検内容、スリップサインとプラットフォームの読み分け、偏摩耗から不具合を推測する見方を、ベーシック① 日常点検・メンテナンス編で扱います。
クルマのことを「なんとなく」から「説明できる」へ。
自動車士は、日常点検・購入と手続き・トラブル対応の実務知識を認定するWEB検定です。試験は年4回(1月・4月・7月・10月の第4日曜)。スマホから受験でき、合格者には認定証とデジタル認定証(オープンバッジ3.0準拠)を発行します。


