日常点検はどこを見る? 自家用車の「適切な時期」と点検の順路
一般社団法人 日本総合検定資格センター
結論から書きます。日常点検は運転者の心がけではなく、道路運送車両法上の義務です。ただし自家用乗用車に「1日1回」は求められておらず、走行距離や運行時の状態等から判断した適切な時期に行うものとされています。そして点検は、クルマのまわり → エンジンルーム → 運転席の順に一巡すると抜けません。
「適切な時期」は「気が向いたとき」ではない
実施の時期は、車の使い方によって分かれます。
| 車の区分 | 実施の時期 |
|---|---|
| 自家用乗用車(自家用の軽自動車を含む)、自家用の軽貨物自動車・軽特種用途自動車 | 走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期 |
| 事業用自動車、レンタカー、軽自動車を除く自家用貨物車など法令所定の車両 | 1日1回、運行の開始前 |
自家用乗用車に1日1回が求められていないのは、毎日乗るとは限らず、走行距離も使い方も人によって違うからです。とはいえ「適切な時期」は「気が向いたとき」ではありません。長距離を走る前、高速道路に乗る前、家族を乗せる前、久しぶりに動かすとき、給油や洗車のときは、適切な時期を判断するための分かりやすい目安です。法令がこれらの場面を一律に指定しているわけではありませんが、生活の出来事に結びつけておくと実行しやすくなります。
日常点検を行わなかったこと自体への罰則は、自家用乗用車では設けられていません。しかし、灯火が切れたまま、溝が足りないままで走れば、道路交通法の整備不良車両の運転として取り締まりの対象になり、事故を起こしたときの責任にも影響します。罰則がないから守らなくてよい義務ではない、と理解してください。
順路は「3つの持ち場」に分ける
項目は多く見えますが、場所ごとにまとめて回れば迷いません。
| 持ち場 | 主な点検項目 |
|---|---|
| クルマのまわり | タイヤの空気圧/亀裂・損傷/異状な摩耗/溝の深さ/灯火装置と方向指示器の点灯・点滅、汚れ、損傷 |
| エンジンルーム | エンジンオイルの量/冷却水の量/ブレーキフルードの量/バッテリー液の量/ウォッシャー液の量 |
| 運転席 | ブレーキペダルの踏みしろと効き/パーキングブレーキの引きしろ/エンジンのかかり具合と異音/低速・加速の状態/ワイパーの拭き取り/ウォッシャー液の噴射 |
クルマのまわりでは、まず一歩下がって車全体を眺めます。どこかに傾いていないか、片側のタイヤだけつぶれて見えないか。それから一周して4本のタイヤを見て、最後に灯火類を確認します。
エンジンルームには前提が2つあります。平らな場所に停めることと、液体ごとに指定された温度の条件を守ることです。冷却水は冷えているときに見るのが原則で、熱いうちにキャップを開けると高温の冷却水が噴き出すおそれがあります。確認の条件は取扱説明書の指定に従ってください。
運転席では、ブレーキの踏み残りしろと踏みごたえを、エンジン(パワーシステム)を作動させた状態で確かめます。警告灯は、かける前に一度点灯し、始動後に消えるのが正常な動きです。点いていることではなく、消えないことが異常だと覚えてください。ただし、シートベルトの未着用、半ドア、パーキングブレーキの作動のように、条件が解消されるまで点いたままになる表示は例外です。記号ごとの意味と対応は、取扱説明書で当該の記号を確認してください。
続けるコツは、生活の出来事に結びつけること
「適切な時期」を自分で決められないと、点検は続きません。
| きっかけ | 見るとよいもの |
|---|---|
| 給油・充電のたび | タイヤの見た目、灯火、ウォッシャー液 |
| 洗車のたび | ボディの傷、タイヤの溝と側面、下回りの汚れ |
| 月に一度 | 空気圧、エンジンオイルの量、冷却水の量 |
| 長距離・高速道路の前 | 上記すべてと、荷物の固定・積載 |
| 季節の変わり目 | ワイパーゴム、バッテリー、冬用タイヤの準備 |
記録の義務はありませんが、記録があると判断の質が変わります。「空気圧を入れてから1か月で明らかに下がった」と分かれば、自然な抜けではなくパンクやバルブの不良を疑う根拠になります。残すのは日付・走行距離計の数字・気づいたことの3つで十分です。
見つけたあとを、3段階で切り分ける
点検の目的は、異常を見つけることではなく、見つけたあとに正しく動くことです。
| 段階 | あてはまる例 |
|---|---|
| 走らせない | ブレーキペダルが床まで沈む/ブレーキフルードが下限を大きく下回る/タイヤの側面に膨らみや裂けがある/地面に液体が漏れている/赤い警告灯が消えない(シートベルト・半ドア・パーキングブレーキなど条件を知らせる表示を除く。取扱説明書で当該の記号を確認)/焦げたにおいや煙/必要な灯火が切れている |
| 早めに相談する | オイルや冷却水が短期間で減る/黄色い警告灯が点灯している/溝がスリップサインに近い |
| 記録して経過を見る | 空気圧がわずかに下がっていた/ワイパーが端で少し拭き残す/小さな傷 |
迷ったときの原則は、「止まる・曲がる・見えるに関わるものは、上の段階に寄せる」です。相談するときは、症状を「いつ・どこで・どうなる」の形で伝えると原因の特定が早くなります。「変な音がする」ではなく「時速40km以上で右に曲がるときだけ、前の方から連続した音がする」と条件を添えてください。
自動車士では、日常点検の項目と順路、異常を見つけたときの判断の切り分けを、ベーシック① 日常点検・メンテナンス編で扱います。
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