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EVの日常点検と充電計画|補機バッテリーが上がると、電池が満タンでも動きません

一般社団法人 日本総合検定資格センター

結論から書きます。EVでも、日常点検の基本は変わりません。タイヤ、ブレーキ、灯火、ワイパー、ウォッシャー液は、エンジン車と同じように見ます。エンジン特有の項目がない代わりに、充電に関わる点検が加わります。そしてもう一つ、覚えておいてほしい事実があります。多くのEV・ハイブリッド車では、12Vの補機バッテリーが上がると起動しません。駆動用の電池が満タンでも、です。

バッテリーは2つある

多くのハイブリッド車とEVは、走行用の駆動用バッテリーと、ライトや電子機器を動かす補機バッテリー(一般に12V)の2つを備えています。「電気自動車なのにバッテリー上がりで動かない」という相談の多くは、後者の話です。システムを立ち上げる12Vの電気がなければ、何も始まらないからです。長期間動かさないと上がりやすいのも、同じ理屈です。

そして、使用者が扱う範囲もここで決まります。

種類役割使用者が触れる範囲
駆動用(高電圧)バッテリー走行用のモーターを動かす触れない。使用者は手を出さず、必要な教育を受けた専門の事業者に依頼する
補機バッテリー(12V)コンピューター、灯火、電装品、システムの起動端子の状態や固定を見る範囲まで

高電圧の配線は、多くの車種でオレンジ色に統一されています。注意を促すための色です。オレンジ色のケーブルやコネクターには触れないでください。事故や冠水に遭った車両では外から見えない損傷の可能性があり、自分で確かめようとせず専門の事業者に連絡するのが正しい対応です。

補機バッテリーは、エンジン車ではオルタネーター(発電機)が充電しますが、EVやハイブリッド車では主に駆動用の高電圧系統からDC/DCコンバーターを介して充電されます。日常点検で見るのは、端子の付け根に白または青緑色の粉(腐食)が付いていないか、固定金具がゆるんでいないか、ケースが膨らんだりひび割れたりしていないかの3点です。清掃や締め直しは整備工場に依頼する範囲なので、点検は「見る」にとどめてください。

もう一つ、ハイブリッド車やEVを救援車として他の車に電気を分けることは、禁止している車種が多い点にも注意が要ります。法令で一律に禁じられているのではなく、メーカーや車種、接続する端子による制限です。取扱説明書で明示的に許可されていない限り、救援する側にはならないことにし、迷う場面ではロードサービスに相談してください。

充電まわりで見る3点

第一に、充電口。ふたが確実に閉まるか、内部に水やほこり、異物が入っていないか、端子部分に変色や焦げた跡がないか。濡れた手での操作を避けるのは基本の扱いです。

第二に、ケーブルとコネクター。被覆の傷や裂け、コネクターのひび割れや変形、差し込んだときに確実に固定されるか。巻き方をきつくしすぎない、車で踏まない、地面に置いたまま放置しない。こうした扱いが寿命を延ばします。傷んだケーブルは使わず、交換を相談してください。

第三に、電池の残量と使い方。駆動用バッテリーは日常点検で内部を見る対象ではありませんが、使い方が寿命に影響します。一般に、満充電のままの長期放置、残量を極端に減らしたままの放置、急速充電への偏りは、いずれも劣化を早める方向に働くとされています。長期間乗らないときは中間程度の残量に、といった案内が取扱説明書にあることもあり、車種ごとの指定に従うのが原則です。

なお、充電に使うコンセントや設備側も点検が要ります。焦げた跡、ぐらつき、たこ足配線での使用は危険です。設備の設置や改修は電気工事の領域であり、専門の事業者に依頼する範囲です。

また、車種によっては駆動用電池や電力制御装置を冷やすための冷却水があります。その量の確認は、取扱説明書の指示に従ってください。

充電計画は「残量20〜30%」で組む

出先で電池が切れると自走できず、レッカーによる搬送になります。実務的な目安は、残量20〜30%を切ったら次の充電場所を確保するという運用です。これは法令や統一された基準ではなく、経路・気温・車種を踏まえて決める運用上の目安です。

残量が減るほど、暖房・冷房・登坂・高速走行の影響が大きく出ます。長距離を走る前は、経路の充電設備の位置と数を出発前に確認してください。高速道路のサービスエリアやパーキングエリアでも、混雑時は待ちが生じます。「着いてから探す」ではなく「着く前に決めておく」が、EVの計画の基本です。

ロードサービスを呼ぶときは、電気自動車であることを伝えてください。四輪駆動車と同じく、搬送方法が変わるためです。

ハイブリッド車で加わる注意

ハイブリッド車は、点検項目は基本的にガソリン車と同じと考えてください。そのうえで、次の点が加わります。

回生ブレーキの影響。減速時にモーターで発電するため、ブレーキパッドの減りが少なくなる傾向があります。長所ですが、使う頻度が下がることでローター表面にさびが出やすくなる面もあります。「減らないから点検しなくてよい」ではなく、摩耗以外の状態を見てもらうという発想に切り替えます。

エンジンが止まっている時間の長さ。動く時間が短いぶん、オイルの劣化を距離だけでは測りにくくなります。交換時期は距離と期間の両方で判断します。

静かであること。低速時にエンジンが止まっていると、歩行者は接近に気づきにくくなります。近年の新車には車両接近通報装置の装備が義務付けられていますが、それ以前の車には備わっていないものもあります。装置に頼らず、駐車場や住宅街では周囲へ注意を払ってください。

自動車士では、EVの日常の点検と充電まわりをベーシック① 日常点検・メンテナンス編で、EVの導入判断と充電計画をプロフェッショナルマスター クルマの相談役編で扱います。

クルマのことを「なんとなく」から「説明できる」へ。

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