中古車の「修復歴」と「事故歴」は別物。見るべき書類と質問
一般社団法人 日本総合検定資格センター
結論から書きます。修復歴と事故歴は同じものではありません。修復歴は業界の基準に定める車体の骨格部位を交換または修正した履歴を指す用語で、表示のルールがあります。事故歴は「事故に遭った経歴がある」という一般的な言い方で、統一された表示の基準はありません。したがって、事故歴があっても修復歴があるとは限らないという関係になります。
用語の線引き
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 事故歴 | 事故に遭った経歴があるという一般的な言い方。統一された表示の基準はなく、どこまでを含めるかは人によって異なる |
| 修復歴 | 業界の基準に定める車体の骨格部位を交換または修正(板金・溶接など)した履歴があること |
骨格部位は、業界の規約で次の8つと定められています。フレーム(サイドメンバー)、クロスメンバー、フロントインサイドパネル、ピラー(フロント・センター・リア)、ダッシュパネル、ルーフパネル、フロアパネル、トランクフロアパネルです。かつて含まれていたラジエーターコアサポートは、2016年4月から骨格部位の定義から外れています。ただし部位ごとに判定の基準や除外の扱いが定められており、これらの部位に手を入れたというだけで修復歴になるわけではありません。判断に迷うときは、基準のどこに当たるのかを販売店に確認してください。
中古車の販売では、修復歴の有無を表示することが業界の公正競争規約で定められています。修復歴があること自体がただちに危険を意味するわけではありませんが、次の点には注意が要ります。
- 修正の程度によっては、直進性やドアの立て付け、雨漏りに影響が残ることがある
- 売却時の査定で、修復歴は評価を下げる要素になる
- 保証の対象から外れる項目が出ることがある
「安いと思ったら修復歴があった」ではなく、「修復歴は価格を下げる要因になりやすい」という順で理解してください。価格は年式・走行距離・装備・そのときの需要でも動くので、安い理由が修復歴だとは限りません。理由を確かめたうえで納得して選ぶなら、それは一つの合理的な判断です。
中古車は書類から見る
中古車は、同じ年式・同じ走行距離でも、どう使われどう手入れされてきたかで状態がまったく違います。車種を選ぶ作業ではなく、個体を見きわめる作業です。そして順番には型があり、いきなりボディの傷を探すのではなく、まず書類から入ります。書類のほうが、短時間で多くのことが分かるからです。ただし記載漏れや判定の誤り、評価した後の状態の変化もあるので、書類だけで決めず、現物の確認と併せて判断します。
車両状態評価書(車両品質評価書などとも呼ばれます)には、おおむね次の情報が載っています。
| 記載項目 | 読み取れること |
|---|---|
| 評価点(総合評価) | 車両全体の状態を段階で表した点数。高いほど良好 |
| 内装評価・外装評価 | 室内・外板の状態を記号で表す |
| 修復歴の有無 | 骨格部位への修復の有無 |
| 車両状態図 | 傷・へこみ・錆・交換の位置と程度を記号で示した図 |
| 走行距離 | 計測時点の距離とその信ぴょう性 |
基準も様式も記号も発行する団体によって異なります。細かい記号を暗記する必要はありません。「傷の位置と程度が図で示され、凡例が評価書に載っている」という構造を知っていれば、現物と突き合わせられます。ただし評価は評価した時点のものです。評価日から時間が経っていれば、その間に状態は変わります。
もう一つの書類が点検整備記録簿です。これが揃っている個体からは、定期的に点検を受けていたこと、どの部品をいつ交換したか、走行距離が年ごとにどう増えたかが読み取れます。「ワンオーナー」であること自体が状態の良さを示すわけではありません。大事なのは所有者の人数より、整備がどう行われてきたかです。
なお、年式は多くの場合「いつ最初に登録されたか」を指し、車検証の初度登録年月(軽自動車では初度検査年月)が基準になります。また、走行距離が少ない個体が良いとは限りません。動かさない期間が長いと、ゴムやオイルシールが硬化し、内部に錆が出ることがあります。中古車の販売では走行距離の表示が業界の規約で義務づけられ、判定できない車両は「走行距離不明」と表示することになっています。「不明」の表示があること自体は、ルールに沿った正しい対応です。
販売店に聞くこと
価格は「その状態のクルマの値段」だけでなく、「納車前に何をしてくれるか」「買った後に何を保証してくれるか」を含んだ値段です。ここが販売店によって最も差が出ます。
| 確認項目 | 具体的に聞くこと |
|---|---|
| 納車前整備 | 何を点検し、何を交換して引き渡すのか |
| 法定点検の実施 | 納車前に法定点検を行うか。記録簿は付くか |
| 保証の有無 | 付くならその期間と走行距離の上限 |
| 保証の範囲と除外 | 主要部分が入っているか。対象外は何か |
| 修理を受ける場所 | 購入した店だけか、提携先でも受けられるか |
「保証付き」という言葉だけで安心せず、期間・走行距離・対象部位・除外項目の4点を書面で確認してください。口約束は後で確認できません。
現物で見る、素人でも分かる範囲
書類で経歴を読んだら現物を見ます。外板の隙間が左右で均等か、隣り合うパネルで色味や艶が違わないか、下まわりの錆の程度、4本のタイヤの銘柄と製造時期と偏摩耗、室内のにおいと雨漏りの跡、電装品がすべて動くか。
なかでも判断しやすいのが、運転席まわりの傷み方と走行距離が釣り合っているかです。距離が少ない表示なのに、ハンドルやシートの減りが激しい場合は、その理由を尋ねてください。気になったことを口に出して質問すること、そして答え方そのものがその店を判断する材料になることを覚えておいてください。
自動車士では、修復歴と事故歴の線引き、車両状態評価書と記録簿の読み方を、ベーシック② 購入・手続き・保険編で扱います。
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