車検と法定点検は何が違う? 周期・項目数・費用の内訳
一般社団法人 日本総合検定資格センター
結論から書きます。車検と法定点検は、目的が異なり、互いを補い合う別の制度です。車検は「その日、その状態で保安基準に適合しているか」を確認するもの、法定点検は「故障や消耗を早めに見つけて良い状態に保つ」ためのものです。だから車検に通ったことは、次の車検まで壊れない保証にはなりません。
周期が違う
自家用乗用車(自家用の軽自動車を含む)では、次のようになります。
| 車検(継続検査) | 定期点検(法定点検) | |
|---|---|---|
| 目的 | 保安基準への適合の確認 | 故障の予防と状態の維持 |
| 申請する先 | 登録車は運輸支局等、軽自動車は軽自動車検査協会(指定を受けた工場に依頼すれば、その工場で検査まで行えます) | 使用者の義務として、整備工場等に依頼するのが一般的 |
| 周期 | 新車の初回が3年、以後は2年ごと | 1年ごと(12か月点検)。2年ごとの点検は車検と同時期 |
| 内容 | 検査項目に沿った適合の確認 | 点検基準に沿って各部を点検し、必要な整備を行う |
| 記録 | 車検証・検査標章 | 点検整備記録簿 |
有効期間が切れた車で公道を走ることはできず、切れた場合は仮ナンバーの手続きなどが必要になります。期限は車検証と、フロントガラスに貼られた検査標章で確認できます。
項目数が違う
自家用乗用車の点検項目は、12か月点検が29項目、2年ごとの点検が計60項目とされています。2年ごとの点検は、1年ごとの項目を含んだうえで、分解をともなう項目まで加わる、より踏み込んだ内容です。
つまり自家用乗用車は、1年ごとに点検を受け、2年ごとにこの60項目を点検するという関係になります。定期点検を受けなかったこと自体への罰則は自家用乗用車では設けられていませんが、義務であることに変わりはありません。「車検さえ通していればよい」という考え方が、突然の故障と高い修理費を生みます。
点検を受けると、実施した工場が点検整備記録簿に記入します。保存期間は、自家用乗用車等の場合、記載の日から2年間と定められています(3か月点検・6か月点検の対象となる車では1年間)。ただし価値を考えれば、捨てずに残しておくほうが得です。前回いつ何を交換したかが分かれば次の時期を読めますし、不具合が起きたときの手がかりになり、売却時には「状態が分かる車」として扱われます。
費用は「動かない部分」と「比べられる部分」に分かれる
見積書は、合計額だけを見ても比べられません。内訳を知ることが正しい比較の出発点です。
| 区分 | 内容 | 性格 |
|---|---|---|
| 法定費用 | 自動車重量税、自賠責保険料、検査手数料 | 工場が任意に決められない。車両の条件と検査の申請方式で決まる |
| 点検整備費用・諸費用 | 点検の技術料、交換した部品代、代行手数料など | 工場と整備の範囲によって変わる。比較の対象になるのはここ |
自動車重量税は車両の重量や区分、経過年数などによって変わり、自賠責保険料は加入期間によって変わります。検査手数料は、検査の区分と申請の方式(持込検査、指定を受けた工場を通す場合、電子申請など)によって異なります。いずれも制度で決まる部分であり、工場が任意に決めるものではありませんが、「どこで受けても同額」でもありません。「安い車検」の差が生まれるのは、ここではないということです。
したがって、見積書を見るときの着眼点は3つになります。第一に、法定費用と整備費用が分けて書かれているか。第二に、交換する部品は何で、なぜ今なのか。第三に、「今回必要なもの」と「次回まで様子を見てよいもの」が区別されているか。この3点を質問できれば、金額の妥当性は判断しやすくなります。
受け方は3つ。差が出るのは整備の範囲
| 受け方 | 特徴 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| ディーラー | その車種に詳しく、専用の部品と情報を持つ。整備の範囲が広い傾向 | 新しい車、保証の残る車、車種特有の装備が多い車 |
| 整備工場・カー用品店・給油所など | 工場によって得意分野と料金の考え方が異なる | 費用と整備の範囲を相談しながら決めたい場合 |
| ユーザー車検 | 使用者が運輸支局等(軽自動車は軽自動車検査協会)へ持ち込み、自分で検査を受ける | 状態を自分で把握しており、点検整備を別に手配できる場合 |
整備工場には認証工場と指定工場の区分があります。指定工場は自社の設備で検査まで行え、認証工場は分解をともなう整備はできるものの、検査は運輸支局等(軽自動車は軽自動車検査協会)へ持ち込みます。どちらでも車検は受けられますが、手続きの流れが変わります。
ユーザー車検で誤解しやすいのは、検査に合格することと、点検整備を済ませることは別だという点です。検査に通っても定期点検の義務はなくなりません。「安く上げた」つもりが、必要な整備を見送っただけになっていないか。費用の差は、多くの場合、整備の範囲の差です。
そして、日常点検を続けている人ほど、この会話が楽になります。残り溝、オイルの交換時期、バッテリーの状態を把握していれば、提案された整備に納得できるかを自分で判断できるからです。点検の習慣は、費用の主導権を自分の側に置く手段でもあります。
自動車士では、車検と法定点検の制度と費用の内訳をベーシック① 日常点検・メンテナンス編で、購入時に見る「車検の残り」をベーシック② 購入・手続き・保険編で扱います。
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