「奉拝」の意味と、御朱印の読み方
一般社団法人 日本総合検定資格センター
御朱印は「読める」ようになると、楽しさが一段変わります。同じように見える一枚の紙に、実はいくつもの情報が層になって書き込まれているからです。
まずは、最もよく目にする言葉から見ていきましょう。
「奉拝」とは何か
御朱印の右上に書かれることが多いのが「奉拝(ほうはい)」です。
意味は「つつしんで拝みました」。参拝した本人に代わって、書き手がその事実を記す言葉です。御朱印が「参拝の証」であることを、端的に表しています。
ただし、すべての御朱印に「奉拝」があるわけではありません。
- 札所めぐりの寺院では、右上が札所番号の印になっていることがあります
- 修験道の霊場などでは、定型句を置かず、尊格名をそのまま大きく書く様式も見られます
「奉拝がない」こと自体が、その寺社の信仰の系統を語る手がかりになる——これは一歩進んだ読み方です。
中央に書かれるもの
御朱印の主役は中央の墨書です。ここに何が書かれるかは、神社と寺院で異なります。
| 中央の墨書 | 中央の印 | |
|---|---|---|
| 神社 | 社名(〇〇神社・〇〇大社) | 社印 |
| 寺院 | 本尊名・堂名(大悲閣・薬師如来 など) | 三宝印・御宝印 |
神社は社名、寺院は祀られている仏の名や堂の名が中心になります。「大悲閣(だいひかく)」は観音を祀る堂の呼び名で、これが書かれていれば観音霊場である可能性が高い、といった読み方ができます。
同じ寺社でも、書き手によって字の表情はまったく変わります。ここが印刷物と決定的に違うところで、御朱印が一枚ごとに違う理由でもあります。
印の種類を見分ける
押される印にも意味があります。
- 社印:神社名を刻んだ角印。墨書が「変わる顔」なら、印は「変わらない顔」です
- 三宝印:「仏法僧宝」の四字を刻んだ印。寺院で広く使われます
- 御宝印:本尊を表す梵字(種字)を刻んだ印
- 札所印:「坂東第十三番」など、巡礼路における番号を示す印
- 神紋の印:その神社に伝わる紋章。梅鉢・三つ巴・下り藤などが代表的です
神紋が読めると、社名を見る前に系統の見当がつきます。 梅鉢なら天満宮系、三つ巴なら八幡宮系、下り藤なら春日系、というように。
梵字(種字)とは
寺院の御朱印の中央に、見慣れない一文字が押されていることがあります。これが梵字、正確には種字(しゅじ)と呼ばれるものです。
古代インドで用いられた文字が、密教とともに中国を経て日本へ伝わりました。日本では、文字そのものが仏の姿を表すものとして扱われるようになります。
たとえば、聖観音を表す種字は「サ」。これが押されていれば、その寺の本尊が観音であることが読み取れます。
左側と隅に書かれるもの
- 参拝日:参拝した当日の日付。「令和八年七月二十三日」のように書かれます
- 山号・寺号:「金龍山 浅草寺」のように、寺の称号と寺名
- 御詠歌:巡礼路の札所で、その札所に伝わる歌が添えられることがあります
組み合わせて読む
一枚の御朱印を読むときのコツは、要素を一つずつではなく、組み合わせて見ることです。
例:右上に札所番号の印 + 中央に梵字「サ」の御宝印 +「大悲閣」の墨書 + 隅に御詠歌
→ 観音を本尊とし、巡礼路の一札所であり、御詠歌の文化を大切にしている寺院だと読み取れます
社名も由緒書きも見ずに、御朱印だけからここまで分かる。これが「読める」ということです。
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